ねばちっこい経営
(遠藤功、東洋経済新報社、2006年)
人と組織の「ねばちっこさ」が重要だとする、事例に富んだ経営書。とても面白かった。
以下は特に面白かった部分の抜粋など。
深く、粘り強く考えることによって、論理的な筋道が見えてくる。当然、そこから生まれてくるアイデアや知恵も…成果が生まれる確率も高い。…トヨタでは「『五回のなぜ』を繰り返せ」が習慣化している…「なぜこの仕事をやっているのか」「なぜこのやり方なのか」…「なぜ」を繰り返すことによって、思考回路が回り始め、いろいろな気づきや発想が生まれる(p.63)
「ホームランよりヒットを」という「コツコツ戦略」(p.75)
自分たちの生み出す価値の本質を理解させ、そのうえで、現場の役割やミッションを示すことで、現場は想像を超える力を発揮する(p.77)
トヨタや花王で改良が進むのは、経営における現場の役割と重要性が全員に認識されていて、現場に対する「リスペクト」があるからだ(p.103) 現場に対する「リスペクト」、そこから生まれる現場の強烈な「プライド」が「改良」を推進する(p.104)
「やめる」という選択肢を持たないことによって、人間は退路を断ち、そこから信じられないほどのエネルギーが生まれる(p.122)
前半で「ねばちっこい」経営の重要性を説き、後半部は、「ねばちっこい」人間と組織をどのように作るかという問題に入る。後半部はほぼ全部面白い。なかでも「個人の粘着力を高める10のポイント」は(他の論者と重なる部分もあるが)、仕事だけに限らず人生を実りあるものにするためにも参考になると思う。
- 夢や思いを大切にする
- 具体的な目標を設定する
- 目標に「日付」や「期限」を
- 一定期間、集中して取り組む
- 弛緩を挟む
- 「遊び感覚」を入れる
- 「成長実感」を得る
- 記録を残す
- 他人と比較しない
- ポジティブに考える