いよかんをむく
何か気にかかることがあって、自分の頭だけで解決できないことが明らかなときは、単純作業をして心を落ち着ける。
最近好きなのは、いよかんをむくこと。
いよかん剥き器をプレゼントしてもらった時から、
我が家にいよかんむきブームがやって来た。
開いた毛穴のようなぶつぶつ模様を持ちながらつやつや橙色に光るいよかんの皮。
プラスチックで出来た刃を差しこみ、へたをくりぬく。
いよかん、いよかん、へたを取られたいよかん。
皮にひとまわり切り目を入れて、それと十字になるように切り目を入れる。
と、皮の切り目から黄色の汁がしたたり落ちる。
皮を剥いてしまったら、
あとは白い薄皮を丁寧にむき、果肉を皿に円を描くようにして並べる。
そうして、時間をかけてむいたいよかんを、
片っ端から全部食べる。
すっぱいあまいすっぱい。
時々果汁を口から飛ばし、
白い机にうす黄色い斑点を作るが、
食後机を水ぶきしさらにから拭きするので、
結局机にも皿にも痕跡は残らず、
いよかんの身は腹の中に、皮たちはゴミ箱へ放り込まれて、 終わり。