魔法をかける方法

最近ずっとミヒャエル・エンデを中心に据えて読書していますが、今日もその話題。
エンデの童話集『魔法の学校』(矢川澄子他訳、岩波書店、1996年)に収められている「魔法の学校」(佐々木田鶴子訳)では、作家の“わたし”が世界のどこかにある“望みの国”を訪れ、“魔法の学校”の授業を参観します。
入学したての生徒たちに、ジルバー先生は、魔法をかけるのに必要なものは“望む力”だと言います。

「魔法をかけようとするものは、自分のなかにある『望む力』をよく知って、つかうことができなければならない。しかし、そのまえに、自分のほんとうの望みを知って、それをじょうずに生かすことをならうんだ。」・・・
「ほんとうは、自分の望みを自分がかくさず、ありのままにありのままに知るだけでもいいんだ。・・・とはいっても、自分のほんとうの望みがいったいなんなのか、みつけだすだけでも、なかなかむずかしいんだがね。」・・・
「だから、さっきから、『ほんとうの』望みといってるんだよ。ほんとうの望みは、自分のほんとうのお話を生きるときにだけみつかるんだ。」・・・
「・・・『もらいたい』というのと、ほんとうに望むこととはちがっている。ほんとうの望みはぜんぜんちがうことがおおいし、まるっきり反対のことだってある。もし、それがべつな人のお話からでた望みなら、けっして自分のお話を生きることはできないだろう。だから、そういう人は、魔法をかけることもできないんだ。」
前掲、22〜24頁